無延伸ポリプロピレンとは？

無延伸ポリプロピレン（Cast Polypropylene）とは、CPPとも呼ばれる、引張強度があり破れにくい機械的特性を持ったフィルムや袋のことです。

無延伸ポリプロピレン（CPP）はヒートシール性と引張強度に優れており、ポリエチレンフィルムと並ぶ代表的な汎用フィルムで広い用途で使用されています。

ポリプロピレンのフィルムには無延伸ポリプロピレン（CPP）と二軸延伸ポリプロピレン（OPP）の2つがあります。ポリプロピレンはポリエチレンに比べて硬く透明性が高く、耐熱性も約140℃とポリエチレンより高い性質を持っています。ただ低温ではポリエチレンのほうが強度で勝ります。また耐薬品性もポリエチレンと同じく安定度があります。

無延伸ポリプロピレン（CPP）の「無延伸」とは、力でフィルムを引き伸ばす工程をしないことで、二軸延伸ポリプロピレン（OPP）の「二軸延伸」とは、縦および横の2方向に伸ばす工程のことを言います。

炭酸ガス、窒素ガス並びに酸素といったガスバリア性については、無延伸ポリプロピレン（CPP）は二軸延伸ポリプロピレン（OPP）に比べてやや高くなりますが、低密度ポリエチレン（LDPE、LLDPE）に比べるとかなり低い水準であり、高密度ポリエチレン（HDPE）に比べるとやや高い水準です。

無延伸ポリプロピレン（CPP）の用途は、単体で使われる用途とラミネーションといって多様なプラスチックフィルムを多層化した包装フィルムにおけるひとつの基材として用いられる2つに大別されます。単体の用途として多く用いられるのは食パン、菓子パン、海苔、海産物、水産練り製品、アイスクリームなどの包装材です。

ラミネート用では無延伸ポリプロピレン（CPP）のシール強度をコントロールすることによってプリン、ゼリーなどの容器のフタを開封しやすくするためにイージーピール性を付与したフィルムなどがあります。

またラミネート用の中には近年大きく需要が伸びているレトルトパウチ包装があります。レトルトパウチは無延伸ポリプロピレン（CPP）の耐熱性とヒートシール強度を活かした用途であり、PETフィルム、ナイロンフィルム並びにアルミ箔や他の蒸着材と貼りあわされてヒートシール層として最内層に用いられます。

この他に、リチウム電池のセパレーター（電池内の正極と負極を隔離する部材）にも無延伸ポリプロピレン（CPP）が利用されています。