耐候性とは?
耐候性とは?
耐候性とは、プラスチック製品が屋外の環境に長期間暴露されることで紫外線などによって劣化していき脆くなっていきます。この紫外線などの劣化要因への程度のことを耐候性と言います。
紫外線以外にも、熱、酸素、水、水蒸気、オゾン並びに有機性ガスなどが劣化の原因となります。
耐候性は一般的に、太陽光の中の紫外線がプラスチックを構成する分子の結合を切断していくことにより、物性と外観の両面で変化が現れます。
物性面では分子量が小さくなり、機械的特性(引張強度、伸び、耐衝撃強度)が低下し絶縁特性等の電気的特性も下がります。外観では変色(特に黄変)や光沢の低下が見られます。
プラスチック製品の劣化の例として、ポリプロピレン製の洗濯バサミがあります。屋外で洗濯バサミを使い続けていると、ある期間を過ぎると変色が置き、脆くなってきます。そして最後にはバラバラと壊れてしまいます。

プラスチックの耐候性向上のためには、添加剤に紫外線吸収剤と光安定剤を使用することで大きな効果が得られます。
紫外線吸収剤は太陽光の中の紫外線を吸収することによってプラスチックの劣化を防ぎます。光安定剤は、紫外線に照射されることでプラスチックの内部に生成されたラジカルと呼ばれる分子を補足して無害なものに転換します。
1960年代ごろまでは紫外線吸収剤のみが用いられていましたが、その後光安定剤が開発され、現在では2つの添加剤が併用されるのが一般的です。
屋外で長期間使用される農業用ハウス向けフィルムや農業用マルチフィルムなどに使用されています。
一方、透明性を必要としないパイプ、電線等では、15年~30年ほど屋外使用を想定されるため、紫外線劣化にもっと大きな耐候性が要求されます。これらにはカーボンブラック顔料を約1%~3%添加することで、耐候性向上を期待できます。カーボンブラックは炭素を成分とする黒色の顔料です。
ただし、カーボンブラックは添加量が増加すると電気絶縁性が低下しますので電圧の高い電力用電線では通信用電線に比べて添加量を低くします。
プラスチックで最も耐候性の高いものはポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)です。PMMAはアクリルガラスとも呼ばれ、透明度が高く耐衝撃性も良いので照明器具のカバーや店舗の看板、道路標識などに多く使われています。また最近では新型コロナウイルスの飛散防止板としても利用されています。

用語集
ポリ袋・ゴミ袋業界に関する用語に加え、化学品・合成樹脂業界に関する用語を幅広くまとめています。